日本が中国に勝てる可能性

皆さまこんにちは。


そろそろリオ五輪が近くなってきましたが、今回はオリンピックに限らず大きな舞台で日本が中国に勝てる可能性についての考察をしていきたいと思います


申し遅れましたが、これは「卓球」についての記事です


オリンピックで卓球日本代表勢がメダルを取れるかどうかの考察も近々していきたいと思います


さて、長い卓球の歴史の中で日本が今まで中国に勝ったことがあるのは、記憶が定かではありませんが


おそらく卓球が初めてオリンピック種目になった1988年のソウルオリンピックより前の日本が世界の卓球をリードしていた時ではないでしょうか


わからない方も多いと思いますが、長谷川信彦、伊藤繁雄、河野満、小野誠治、荻村伊智朗、田中利明、佐藤博治…


これらはみな日本の歴代世界チャンピオンです


日本の卓球はかつて世界をリードしていたのです


この時代までは、まだ日本は中国と対等かそれ以上の強さを誇っていました


しかし、いつしか日本の良い技術は中国に盗まれ、さらに中国はそれらの技術を進化させ卓球の競技自体を新しいものにしていきました


時を同じくしてスウェーデンにも1人の天才が現れました、


それが「ワルドナー」選手です


「卓球のモーツァルト」とまで言われたワルドナー選手は、その類いまれなる才能から次々と斬新で神がかり的なプレーで世界の卓球に変革をもたらしたのです


スウェーデンにはさらにワルドナー選手と同等の力を持ち世界選手権でも優勝したことのある「パーソン」選手がいました


世界の卓球は「中国」と「スウェーデン」の2強の時代になったのです


そこから日本の卓球は「進化」が止まり、後に続く若い選手がでてこず、世界から遅れをとるようになりました


当時日本人初のプロ選手として松下浩二選手がダブルスで銅メダルを取ったり、日本のエースとして団体戦3位に貢献したりもしましたが


世界のトップとの差はかなりあったように感じます


なぜこのような話をしたのかというと


こういった歴史も国同士の戦いにおいては大きな心理的要因に結びついているということです


今となっては「中国」という名前だけでも、対戦相手は嫌でしょうし大きなプレッシャーがかかるでしょう


それまで築き上げてきた「国のブランド」も大舞台で圧倒的に強い中国の強さの1つであると感じています


そもそもスタートの位置が違うので、一回の試合や数年かけて選手の強化をしても「中国」という国家ブランドの牙城を崩さない限り、中国選手を同じスタート地点に持っていくことは容易ではないでしょう


「中国は絶対に負けてはならない」という国家ブランドは選手にとっては大きなプレッシャーでもあり、試合における絶対的な自信にもなるのです


もちろん国技というのもありますし、単純に本当に化物みたいに強いのもありますが、それでも一国がこれほどまでに圧倒的に競技のシェアを握っているスポーツは卓球くらいでしょう


近年日本代表選手の活躍は目覚ましく、間違いなく男子も女子も中国を倒せる唯一の国の筆頭候補でしょう


しかしそれでもまだ中国の「層」は厚く、団体戦や大舞台でまともにやりあって勝てる可能性はかなり低いでしょう


これまで日本選手以外にも中国選手が負けたり負けそうになった試合は必ず、心理的・精神的プレッシャーが大きくかかった場合に多いように感じます


大阪の世界選手権での男子団体準決勝・対韓国戦、アテネ五輪男子決勝での王皓選手の敗北、横浜の世界選手権で松平選手が馬琳に勝利したこと、アジア選考会で丹羽選手が馬龍に勝利したこと、最近では伊藤美誠選手が丁寧選手に勝利しました


これらの事柄で共通しているのは


「中国であるがゆえの大きなプレッシャーによって、通常の心理状態でプレーができない」


「ノーマークの若手選手の新しい技術やプレースタイルに対応できなかったり意表を突かれる」


が挙げられると思います


また中国選手に勝つためには、「必ず序盤でリードして精神的プレッシャーをかける」というのが中国選手と戦う際のセオリーでした


ですので、日本が今後中国選手に勝つためには


「なんとか序盤でリードして相手に精神的プレッシャーを与える」


「見たことのない技術や分析されているものとは違う戦術で攻める」


「なんらかの精神的プレッシャーがかかる場面を見逃さない」


「まだ分析されていない爆発力のある若い選手をトーナメントの早い段階で、あるいは団体戦の切り札として当てにいく(例:大阪の世界選手権での呉尚很選手のような使い方)」


などでしょうか


実力で勝てないから姑息な手段を使っているように感じるかもしれませんが、あくまで実力+αを得るための「戦略」です


予選やオープン戦でのまぐれ勝ちではなく、本当のビッグタイトルで中国選手に勝つためにはそこに至るまでの「戦略」がカギを握ります


正直、中国選手であろうとまっさらな状態で試合をすればそれほど実力の差はないと思います


重要なのは、いざ試合になって相手と対峙したときの心理状態や精神的プレッシャーによって、よりどちらの実力が発揮されるかという問題でしょう


アテネ五輪の王皓選手のように、実力でははっきり言って柳承敏選手の方が劣るのに


あの試合での王皓選手は実力の半分も出せていなかったでしょう


対して柳承敏選手は自分の持ちうる全てを発揮し、できることを全て出し切って勝利しました


そういったコートの外での駆け引きが、あの小さな卓球台で奇跡を起こすかもしれません


試合はすでに始まっているのです


リオ五輪で日本代表は十中八九中国選手と当たるでしょうから、今から楽しみに待ちたいと思います


是非試合以外のところで日本と中国がどのように駆け引きしているかも見てみると楽しいかもしれません


長文失礼しました


それでは

全国優勝校出身卓球コーチの卓球上達ブログ

全国優勝校出身卓球コーチが技術や練習方法、メンタルや世界の卓球情勢についてなど卓球に関する様々な情報を提供していきます。

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